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東京競売ウォッチ

2018年3月20日

第407回 売却基準価額3倍弱の競落は下町マンション

 2月22日開札では売却基準価額を下回る競落をされた練馬区のマンションのことを本欄で取り上げたが、一方でこの同じ日に最多の入札を集め一番人気であったのもマンションであった。その物件は東武亀戸線「東あずま」駅徒歩約8分に立地する。築32年、やや古いが新耐震基準である。対象の部屋は専有面積約17坪で間取りは2LDK+納戸である。この物件の売却基準価額は504万円であったが、これに対し27本の入札があり、売却基準価額の約2.8倍の最高価1422万円で再販業者が競落していった。

 さらにこの物件120万円程度の滞納管理費等、遅延損害金等が約60万円の負担がある。競落コストは1600万円強となる。ただ成約事例など見ると専有面積1坪あたり140万円で2300万円程度では販売されてもおかしくないので、これほどの上乗せ競落でも再販利益は確保できそうである。しかし、問題はこの部屋は所有者居住であり、引渡命令対象なので、その点は良い。しかし、部屋中ゴミに満ちていて、さらに猫も生息していて悪臭が漂っているとある。おそらく内装についてはほぼ全面改装が必要であろう。また住戸位置が1階にあるのも不利な部分である。いかに内装コストを抑え綺麗に見せられるかが競落者の腕の見せ所ではないだろうか。またこれほど大きな滞納管理費等の物件の場合、他に付帯として大規模修繕負担金などないか、要注意である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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