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東京競売ウォッチ

2017年4月11日

第364回 京渋谷区神泉の小規模マンション

 競売において、入札対象の特定にあたっては事件番号と対象となる物件番号の2つで行われる。

 中でも物件番号は不動産の登記の単位に対してふられる。土地一筆、建物1個に対して整数1つが与えられる。その物件番号で枝番が付されている物件が生じた。3月9日開札で、渋谷区神泉に立地する小規模マンションの1階店舗と3階の居室がそれである。この物件、(2筆の)敷地共有持ち分が専有部分と一体化していないため(築年が昭和54年で、以後一体化登記が行われていない。)建物(専有部分)と敷地の共有持分が競売対象になる。しかし、土地の共有持分は2部屋分が纏めて持分登記されているので、1階店舗と、3階居室に対応する持分を競売上で分けねばならない。2部屋それぞれ別々に入札対象としたためである。そんなわけでこの物件は2筆の敷地について1階店舗の分として、物件番号1‐1、2‐1そして3階居室分として1‐2、2‐2と共有持分を競売入札のため便宜的に枝番処理をして分けた珍しい例となった。

 もちろん過去もこのような専有部分が複数で、且つ敷地の共有持分が分かれていないということはあったが、大抵は、複数の部屋を一括売却として入札対象にしていた。しかし、店舗と居室ということもあり、入札を促進するために分離して入札させたようだ。結果的に店舗の方は、落札されたが、居室の方は、専有部分の劣化が酷いためか、不落札であった。どうやら一括売却にせず、分離したことが、功を奏したようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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