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東京競売ウォッチ

2014年3月25日

第223回 競売で売れない物件なし

 活況が続く競売市場であるが、そんな中でも入札がなく、条件を変えない先着順売却である特別売却に付される物件もある。

 ちなみに、2月27日開札で特別売却に回ったのは2物件であった。いずれの物件も足立区内の1戸建てであった。1物件目は最寄りの駅(東武伊勢崎線「梅嶋」駅)から約1kmに立地する築約34年の木造で、床面積は約68坪ある。敷地約87坪とともに、売却基準価額2,596万円が付けられたが、期間入札で応札がなかった。

 この物件が敬遠されたであろう大きな理由は土地の地形である。建築基準法上の道路には面するものの、地形が路地状土地になっていて、その路地状部分の幅員が2mあるか否かが不明なのだ(対象建物は建築確認を取得していない)。

 この点、評価書では1割の減価要因としているが、実際2㎡なく、建築確認が取得できないとなれば、もっと大きな減価要因になるであろう。

 もう一つの特別売却物件である1戸建ては、築60年が経過した木造で、かつ隣家と接着した長屋形式の区分建物であった。しかも、土地の権利は借地権ということもあり、敷地面積が約19坪あり、売却基準価額が311万円という低水準であっても、応札なく特別売却になった。

 しかし、この2物件とも特別売却で買受申込みが入り売却されていった。おそらく売却されるにあたっては、先に紹介した物件については、路地状幅員が2m以上確保されていることが確認されているだろう。そして、2物件目については地主との(名義変更料等の)協議を先行していたのかもしれない。

 それでも、これらの結果を見ると、競売で売れぬ物件はなくなったと感じてしまう。ちなみに、特別売却がなされるのは東京地裁では開札日の翌日から5開庁日までの期間である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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