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東京競売ウォッチ

2024年05月21日

第697回 築浅ワンルームも競落価格上昇か

 市場で中古マンションの流通価格上昇は頻繁に話題となっているが、これは住宅ローンが使える大きさの物件が念頭におかれている。競落データでも投資用ワンルームマンションは、自住用マンションに比べ同等の立地、築年でも売却基準価額に対し比較的上乗せ率が低く推移していた。しかし、比較的新しい投資用ワンルームマンションについては高い水準での競落になってきているようだ。

 4月24日開札では西武新宿線「沼袋」駅徒歩約10分に立地する築6年弱の専有面積約7.8坪のワンルームマンション、売却基準価額1975万円のところに入札10本が集まり、最高価2765万円にて落札された。この部屋は月額9.55万円(賃料+共益費)にて賃貸されているので競落価格に対しては表面利回り年約4.1%となる。

 また同じ日、東京メトロ東西線「東陽町」駅徒歩約5分に立地する築7年弱の専有面積約7.8坪のワンルームマンションが、売却基準価額1904万円に対し入札が12本あり、最高価2736万円弱で競落された。この部屋は月額10.1万円(賃料+共益費)で賃貸されているので年表面利回り約4.4%水準での競落である。

 紹介した2物件の売却基準価額に対する競落価格の上乗せ率は約40%超で、自住用マンションと遜色ない水準である。また専有面積坪単価も350万円を超えていて、これも自住用マンションレベルと言えよう。

 こういった結果の背景には23区内ワンルームマンションの新築物件の供給量が少ないことがある気がする。また建設費高騰も関係しているかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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