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東京競売ウォッチ

2017年2月7日

第356回 目黒駅徒歩12分の土地付建物

 1月19日は2017年最初の開札であった。1物件を除き全て競落の結果で、今年も活況のスタートである。しかし、この日の競落1物件あたりの入札本数は、10.4本と、昨年下期の14本強をかなり下回る結果となった。

 この日の1番人気はJR山手線「目黒」駅徒歩約12分に立地する土地付建物であった。土地は北西側で幅員9.1mの公道に、北東側で幅員4mの私道に各々面する広さ約17.5坪である。建物は築10.5年の木造3階建てで、延床面積約29坪であった。この物件の売却基準価額は3,408万円であったが、これに対し、36本の入札があり、最高価5,614万円にて競落されていった。

 この土地の正面路線価は1坪170万円で、したがって土地の相続税評価額は約3,000万円である。建物は評価書上では約1,200万円の評価であるので、競落価格のうち土地の分が約4,400万円に相当する。これは相続税評価額の約1.5倍になる。

 この競落水準は昨年に比してはやや低い感じがする。住宅地として一等地である目黒で、昨年であれば、相続税評価額の2倍程度の入札はあったのではないだろうか。また、この日は練馬区のマンションで売却基準価額を下回っての競落物件もあった。管理状態が悪い小規模物件ではあったが、昨年ではもっと高い水準の入札があったように思う。

 競落水準の低下の兆候が表れてきたのかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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