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東京競売ウォッチ

2015年8月4日

第287回 2015年上期の競売市場

 今年2015年上期の競売市場は対象物件数の減少が顕著であった。弊社の集計では6カ月間の合計が492物件で、昨年上期(743物件)に対し3割以上減少した。このまま推移すれば、年間で1,000物件を割り込むことになるだろう。それに対し競落率は99%と正に完売に近く、競落競争は激化している。

 別掲のグラフは競落1物件あたりの入札本数であるが、ここ1年は16本を超えている。ただ昨年下期からすると、少しではあるが今年上期は減少しているところから、そろそろ天井になってきているのかもしれない。

 さて、そんな過熱市場の中で、2015年上半期で1番入札を集めたのは6月4日開札の東京メトロ日比谷線「八丁堀」駅徒歩約3分に立地する店舗・共同住宅の1棟物件であった。65本の入札を集め、売却基準価額3,954万円に対し1億483万円で競落された。売却基準価額の2.6倍を超える競落である。

 一方、マンションの一番人気は5月21日開札の東京メトロ南北線「本駒込」駅徒歩約2分に立地する築18年の2LDK(約17坪)のマンションであった。入札本数は58本で、売却基準価額2,216万円に対し、3,666万円にて落札された.

 やはりマンションの方が、相場が計りやすいとみえて人気物件であっても、売却基準価額への上乗せ率は1棟物件に比して小さい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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