リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2026年02月17日

第780回 火災、修復済みなら価格調整少ない

 東京23区内への人口流入の勢いが弱まっているとの新聞報道があった。その要因の一つはマンションなど住宅価格の高騰にある。近時長期金利が上昇し、住宅ローンの支払い増が予想されるものの新築、中古問わず23区内マンションの売れ行きには衰えがないようだ。

 2月4日開札では山手線「大塚」駅徒歩4分に立地する築23年経過の「センシア山手大塚」の4階の部屋が開札対象になった。専有面積は約17.3坪の1LDKで、現状は物置的に使用されているとのこと。売却基準価額は3315万円であったが、これに対しこの日最高の39本の入札があり、最高価7130万円強で再販業者が競落していった。

 売却基準価額への競落価格の上乗せ率は115%超とかなり大きかった。しかし、レインズの昨年秋の成約事例では専有面積坪単価506万円というのがあり、おそらくこの対象物件も総額8500万円以上の売買価格になって不思議はない。そうであるにも拘わらず大幅な上乗せ率になるほど売却基準価額が低い要因として、過去の火災の事実に対する減額(10%)が評価書上なされていることも影響している。

 しかし、一般市場においてはマンション内の火災も修復済みであり、放火事件などで無ければ価格への影響は少ないと見られる。住宅ローンについてもそれにより融資が受けられないケースは少ないだろう。本対象物件も火災の損傷は修復されていることで、入札価格への影響は小さかったように感じる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.