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東京競売ウォッチ

2020年4月21日

第507回 新高円寺戸建が売却基準価額未満落札!!

 首都圏の中古一戸建については、マンションに比してこのところ成約価格が相対的に低い傾向にある。少子高齢化や共働き世帯の増加がその背景にあるものと考えられる。また一戸建ては敷地条件、特に接道条件などでディスカウントされてしまうケースが多々ある。昭和から平成初期においてより、この点の減価は大きくなっているように思う。

 3月12日開札で東京メトロ丸ノ内線「新高円寺」駅徒歩約7分に立地する一戸建が売却基準価額を下回り競落されたのに目を引かれた。その物件は敷地が約42坪あり、西側で幅員2mの私道(42条2項)に面している。そして建物は昭和50年2月築の古家であり、実際には価値ゼロというか解体費分マイナスである。売却基準価額は4689万円であり、単純に土地の坪数で割れば1坪111万円強と、この地域にすればかなり割安感がある。

 しかし、接面道路が狭く、またセットバックがなされていない。加えて大きい難点は接面する私道の旧友持分がこの物件に付帯していない。接面私道は建築基準法の道路であり、再築は可能ではあるが、建築にあたっては私道所有者の承諾が通行及びインフラ整備(各種配管のための掘削同意等)に必要である。私道持分を有しないことで銀行融資を受けることにも難点があろう。

 この物件は相続による共有で、相続人の共有物分割請求による換価競売であった。おそらく任意売却が思うように進まず(共有者の合意が取れず)今回の競売に至ったのだろう。結果は入札3本のみで、競落価格は4600万円に止まった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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