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東京競売ウォッチ

2013年5月28日

第182回 ◆旧耐震の古いマンション

 不動産市場におけるアベノミクス効果は新築の高額分譲マンションの売れ行きアップから始まった。

 そして、競売市場でもマンションの競落水準上昇が鮮明になった。また、その中で先の震災後、敬遠気味であった、旧耐震構造の古いマンションにも多くの入札があるようになってきた。4月25日開札で築38年のマンションに20本の入札が集まり、売却基準価額の2倍超で落札されていった。

 その物件は京王線「代田橋」駅徒歩約4分に立地する、専有面積約16.2坪の2DKの部屋である。昭和50年1月新築と、築38年以上経過する旧耐震構造マンションである。

 現在このマンションについて、同タイプで、別階の部屋が専有面積1坪単価約160万円販売中である。おそらくはこの部屋のリフォーム後の市場価格は2,400万円程度と想像される。

 この物件の売却基準価額は896万円で、これに対し最高価1,890万円にて再販業者と思われる会社が競落していった。売却基準価額の2.1倍相当の競落価格であるが、先の想定される市場価格を考えれば、決して高くはないだろう。

 実は、ワンルームなどを除くと、マンションの競落価格の売却基準価額に対する上乗せ率は、旧耐震構造の古いマンションの方が新耐震構造のマンションより大きい傾向にある。売却基準価額が築年経過により、低めに算定されていることや、古いマンションには、人気エリアに立地するものが多いこと、さらには住宅ローンが新しいマンションとあまり遜色なく利用できることなどがその要因であろう。

 人気エリア立地の古いマンションの落札を目指す場合は、市場価格の把握とリフォーム費用の見積もりを念入りに行い、思い切った入札価格の設定が必要である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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