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東京競売ウォッチ

2014年4月8日

第225回 専有20㎡以下のワンルーム

 先日本紙一面で、ワンルームマンションの建築規制についての記事が掲載された。益々建築規制が進む中、東京23区において、専有面積が20㎡以下のワンルームマンションの新規供給はできなくなった。

 このことは、既存の専有面積20㎡未満のマンションの希少性が上がるという見方もできよう。

 3月13日開札で、JR山手線「上野」駅徒歩約5分に立地するワンルームマンションが開札になった。築22年目となるこのマンションの専有面積は19㎡強である。事件記録上、現状空室で滞納管理費もわずかのようだ。

 この物件の売却基準価額は453万円であったが、これに対し、入札は33本あり、最高価1,011万円にて落札されていった。

 さて、この落札水準を収益還元で検証してみる。まず、収入は月額7万円の賃料を見込むとして、年間84万円を想定する。ここから管理費等、固定資産税等を控除した実質年収は約60万円となる。したがって、競落価格は実質年6%前後の水準ということになる。

 この物件の競落者は、中古ワンルームマンションの販売会社である。ということは、入手後は、マージンを確保して再販することになり、おそらくは再販価格ベースでは年利回り実質5%以下になるのではないだろうか。

 競落した販売会社は再販にあたり、購入者に対するローンを斡旋していると思われる。ゆえにこういった20㎡未満のマンションにも融資を付ける金融機関があるということである。

 見方によれば、専有面積20㎡未満のマンションは既存不適格とも言える。しかし、購入のローンが利用可能ということであれば流通性はあり、低グロス志向の不動産投資家には良い投資対象になることもあろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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