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2013年11月12日

第204回 朝鮮総連本部の再入札

 10月17日は注目の物件の開札があった。それは、朝鮮総連本部(千代田区富士見)である。

 この物件は今年3月26日に鹿児島市の宗教法人最福寺が45億1,900万円にて落札したものの、その後、資金手当ての目途がつかず、代金納付がなされず、今般再入札になったものである。

 代金不納付による再入札の場合、売却条件に変更はなく、売却基準価額は26億6,826万円(買受可能価額21億3,400万円強)であったが、これに対し、入札2本が入り、最高価50億1,000万円にてアバールリミテッドライアビリティカンパニーなる外国法人が落札していった。

 ちなみに、この物件に次順位対象者はいなかったので、もう1本の入札者の入札価格は、この競落者より入札保証金5.3億円強相当額以上低い金額であったようだ。

 また、今回はおそらく前回の落札者である最福寺は入札していないと考えられる。それは仮に入札し、落札したとしても、裁判所の売却決定を得られないからである。競落後に代金納付をできなかった者は、同一事件の買受人にはなれないという決まりがある。

 なお、本年4月8日号の本欄でも記したが、占有者の朝鮮総連は競落者に対抗する占有権限を有していないので、競落者の意向によっては、明渡請求が朝鮮総連になされるであろう。また、朝鮮総連の対応如何によっては、引渡命令発令~明渡しの強制執行ということも考えられる。いずれにしろ、この物件の今後の成り行きが注目される。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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