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2012年11月6日

第157回 商品力がないマンション

 10月11日開札では、築浅マンションが一番人気になった。

 その物件は地下鉄日比谷線「仲御徒町」駅徒歩約6分に立地する物件で、築6年と比較的新しい。専有面積は約12・4坪、間取りは1LDKで、売却基準価額は1158万円であった。

 これに対し、入札30本が集まり、最高価2006万円で、再販業者が落札していった。

 そして、また2番人気もやはりマンションで、こちらはJR埼京線「北赤羽」駅徒歩約8分に立地する専有面積約22坪の3LDKの部屋で、築年は25年と、やや古い。売却基準価額1330万円に対し、入札は29本あり、最高価1812万円にて落札されていった。

 さてこの日、このように大量入札が入るマンションがある一方で、応札がなく、特別売却に回っていったマンションもあった。それは、東武伊勢崎線「竹ノ塚」駅徒歩約18分に立地する、専有面積約20坪の2LDKの部屋である。このマンションの買受可能価額は502万円強で、滞納管理費約70万円を考慮しても専有坪単価は30万円以下の水準である。しかし、占有関係も所有者居住で、特段の複雑さはないのにもかかわらず、応札者はなかった。

 ただ、このマンションの築年月は昭和56年12月であり、新耐震基準の建築ではない。また、住戸位置が1階であることなどのマイナス要因がある。

 現在マンション市場は、売れる物件と、売れ残る物件がはっきりしてきていると聞く。そういった市場環境を反映してか、これまでマンションにはほぼすべて応札があったのであるが、たとえ安くても、商品力がないと判断されるマンションには応札なし、ということもあるようになってきたのかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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