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東京競売ウォッチ

2017年10月10日

第387回 再建設不可のアパートにも大量入札

 路地状敷地に合法的に建築物を建設するには路地状部分の幅が2m無ければならない。9月21日開札では、この路地状部分の幅が2mに僅か2mm不足していて再建築が不可となっているアパートに大量入札があったのに驚かされた。その物件は丸ノ内線「東高円寺」徒歩約11分に立地し、敷地は路地状で約26.5坪、建物は築7年の木造2階建で、1R4戸から成る。(延床面積約20坪)

 東京都には安全条例というものがあるが、この規制の中に共同住宅の建築規制がある。原則として路地状敷地ついては共同住宅は建設できない。しかし2年ほど前に床面積が200㎡以下の共同住宅は路地状敷地でも建設が可能となった。依って現時点では本物件も違法建設物とは言えない。しかしこの建物が建設された平成22年は認められなかったはずであるので、違法建築であったと思われる。

 そもそも先の路地状部分の幅が2mを割り込んでいることについては如何ともしがたい。建設当時、建築確認は取られていなかったようだ。おそらく競落者は僅か2mm不足については隣地に割譲を願い出ると考えられる。

 こんな条件にもかかわらず売却基準価額1349万円に対し33本の入札があり、最高価3050万円にて競落されていった。これも手頃な収益物件が少ないので、多少難ありでも応札されるのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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