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東京競売ウォッチ

2019年2月19日

第450回 開札発表後の手続き停止!

 競売事件では入札期間が公示され開札に至るまで、任意売却などで競売申立事件が取下となり、開札対象から外れるケースはよく見られる。しかし、開札日以降でも競売物件が売却許可されぬケースもある。民事再生手続きが認められ、競売が停止することなどがその例である。しかしそれ以外でも複数の物件を一括売却した場合、申立債権額、その他配当再建の額を上回り、超過売却になってしまう場合なども高水準の競落生じる昨今では起こり得る。

 1月24日開札では上記の理由ではなく落札者の発表があった後執行停止された物件がある。その物件は東京メトロ日比谷線「恵比寿」駅徒歩約8分に立地する土地付一戸建で、土地は公道(2項道路)に面する約22坪で、建物は築23年の鉄骨造3階建、延床面積約33坪である。この物件の売却基準価額は4655万円であったが、これに対し21本の入札があり、最高価8290万円弱で落札された。しかしその直後執行停止となったのである。この理由は登記簿謄本を確認したところでは、民事再生でも超過売却でもない。

 ただこの物件には競売申立てが、今回の事件の後にもう一つなされていて、(後行事件)それも裁判所は開始決定している。(二重開始決定という。)何らかの理由で今回先行した事件につき、執行停止を求める文書を債務者が裁判所に提出し、認められたものと考えられる。この物件はしばらくして後行事件による再度入札がなされると思われる。執行停止でもまた競売が実行される珍しいケースである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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