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東京競売ウォッチ

2010年6月21日

第46回落札平均価格が上昇

 東京地裁本庁における競落1物件あたりの金額が上昇傾向にある。07年は約5,350万円、08年は約3,170万円、そして09年は約4,440万円と推移してきたが、今年は6月3日の開札までで約6,650万円となっている。

 明らかに落札物件の落札平均価格が大きくなっているが、これは、開札対象にサイズの大きい1棟ビルなどが入りはじめていることによる。それらの物件は多くは不動産会社所有であり、これまで銀行やノンバンクが処理を先延ばしていたところ、いよいよ不良債権と化したローンの回収に本格的に乗り出してきたということのようである。

 6月3日開札では、JR山手線「渋谷」駅徒歩6分に立地するレンタルオフィス1棟が対象になった。この物件は土地が北側で幅員約3.4mの公道(2項道路)に面する約58.5坪で、建物は築20年の鉄筋コンクリート造4階建て、延床面積が約130坪である。

 建物の運営はツカサ都心開発が借り上げで運営している。なお、この賃借権は買受人の引き受けになる条件であり、賃料は月額130万円となっている。この物件の売却基準価額は1億4,310万円であったが、これに対し入札は6本で、最高価は1億8,900万円であった。

 また同じ日、京王井の頭線「下北沢」駅徒歩2分に立地する、破綻した不動産会社所有である1棟マンションのうち8フロアの物件が開札対象になった。建物は鉄筋コンクリート造、築7.5年で、1K~2LDK25戸の部屋が売却対象である。

 この物件の収益は実質で3,200万円ほど見込める計算であるが、この内容で売却基準価額は2億7,549万円であった。これに対し入札11本が集まり、最高価4億8,400万円で業者が落札していった。おそらくは個別分譲で、順次再販をする考えであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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