リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2017年1月10日

第352回 芝浦のタワーマンション

 明けましておめでとうございます。本年も本欄をよろしくお願い申し上げます。

 さて昨年最後の本欄で、競落水準が若干低下する変化が見られると記したが、2017年はどうなるのか、注目である。

 昨年12月8日に港区のタワーマンション「芝浦アイランド」が2部屋開札対象になった。このマンションについては、同じく昨年6月に3部屋競落されている。そこで、半年後の競落水準を比較するため、条件が近い2部屋で競落水準を比べてみた。

 まず6月23日に競落された39階に存する専有面積24.6坪で、東向きの部屋は売却基準価額6,160万円に対し、入札18本が集まり、8,303万円が競落価格であった。滞納管理費等(130万円程度)を加えると、取得コストは約8,430万円である。これは売却基準価額に対し、約37%の上乗せで、競落価格の専有面積坪単価は約341万円である。

 これに対し、12月8日に競落されたのは、41階に存する専有面積26.2坪で、南向きの部屋である。この部屋の売却基準価額は6,650万円であったが、これに対し13本の入札で、最高価8,088万円での競落だった。この競落価格に滞納管理費等(約170万円)を合計した約8,260万円は、売却基準価額の約24%の上乗せであり、専有面積坪単価は約308万円である。

 2つの部屋は先に述べたように階層などの条件が近いこと、また2部屋とも引渡命令対象であることもあることでも相異がない。

 結果を比べてみると、やはり競落水準は下がっていると考えられる。半年間で競落価格水準が約1割は低下した感じである。もちろんこの2部屋だけでははっきりとは言えないかとは思う。しかし、本年の入札価格設定については、この辺の流れを参考にしたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber

コラム一覧

山田純男 東京競売ウォッチ

2024年05月14日



Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.