リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2014年4月22日

第228回 成増のアパートに入札17本

 新年度に入っても依然好調な競落状況で、4月10日開札も100%競落であった。

 この日、最近入札対象としてあまり見られないアパートが開札対象となり、その競落水準に目を引かれた。

 その物件は、東武東上線「成増」駅徒歩約5分に立地する築約21年の木造2階建てで、1K12戸からなる。土地は北西で幅員8mの公道に面する約59坪で、建物は延床面積約60坪である。売却基準価額は4,878万円であったが、これに対し、入札17本が集まり、最高価8,323万円にて落札されていった。

 さて、この物件の期待される賃料収入であるが、月額約70万円、年840万円くらいである。これからすると競落価格は表面利回り年10%程度の水準である。

 一方、この物件の正面路線価は1坪約92万円であり、敷地の相続税評価額は5,500万円程度になる。そこから土地の実勢相場を考えれば約7,000万円程度であろう。

 また建物の残存価値は築年から推して500万円あるかないかであるので、競落価格は土地建物合計で、積算上、一般市場相場並みと言えそうだ。

 先の表面利回り10%の水準も、木造で築20年超のアパートとしては、一般市場の水準ではないかと思われる。

 しかし、現在東京23区内では、この物件のように駅から近く、1億円程度で購入できる収益物件が少ないので、競売であっても決して割安にならないのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.