リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2021年4月13日

第548回 タウンハウスは人気薄か?

 第一種住居専用地域ではマンションの立案は難しい。それは低い容積率、高さ制限などによる。そんな中、第一種住居専用地域でマンション形式の住宅としてタウンハウスの供給が多くなされた時期がある。セボンという会社はこのタウンハウスの分譲を多く手掛け業績を伸ばしたが、14年くらい以前にサブプライムローン破綻に伴う不動産不況で倒産に追い込まれた。それ以降新築タウンハウスの分譲は多くなくなった。

 さてこのタウンハウス中古市場ではどういう評価であろうか。3月17日開札で東急東横線「田園調布」駅徒歩約13分に立地するかつて先述のセボン社が分譲したタウンハウスが対象になった。平成14年11月竣工で築13年のこの物件は約214坪の敷地に8棟建つうちの1棟である。鉄筋コンクリート造地下1階付2階建で延床面積が25.7坪ある。また占有状態は空室であり、商品化は早いだろう。

 この条件で売却基準価額は3920万円であったが、これに対し入札は10本あり、最高価5566万円にて不動産会社が競落していった。次順位の入札は無く、2番目に高い入札者は4800万円以下であった。この築年で東横線沿線の通常中古マンションであれば専有面積坪単価300万円以上で8000万円程度の落札だろう。タウンハウス形式は階段部分が多く、建築規制の関係からドライエリアを作り地下1階に部屋を配せざるを得ないことなどからフラットなマンションより人気が低いのかもしれない。新築でも分譲が少ないのもこの辺に理由がありそうだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber

コラム一覧

山田純男 東京競売ウォッチ

2024年05月14日



Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.