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東京競売ウォッチ

2019年8月6日

第473回 足立区のワンルーム売却基準価額未満の競落!!

 東京23区ではいわゆるワンルーム建築規制が各区備えられている。足立区においても1戸当たりの床面積は現在25㎡以上でなければ新規のワンルーム建設はできないのである。

 7月18日開札で対象となったのは東武伊勢崎線「竹ノ塚」駅徒歩約4分に立地するワンルームマンションで築27年を経過している。専有面積は約6.6坪(約22㎡)であるが、これは建築時には許可されていたものの、現在の規制では狭すぎて建築できない。いわば対象住戸は既存不適格と言えるが、売却基準価額の設定においては特段の減額は施されていない。

 また今マンションにはエレベーターが設置されておらず、且つ共用部分のグレードが劣るなどがあるがこれも特段の減価要因にはなっていない。結果として調整後の正常価格が650万円となっていて競売減価を施した511万円が売却基準価額となっていた。

 結果は入札3本に止まり最高価は売却基準価額を約5%下回る485万円にて個人が落札していった。一方で同じ日の開札で専有面積僅か約4坪のワンルームマンションも対象となったが、こちらは西武池袋線「椎名町」駅徒歩約7分で、新宿区内である。

 新宿区でも現在では先の専有面積4坪の狭小ワンルームは建設できない。しかし先の竹ノ塚のマンションと同様それ(既存不適格)による減価はされなかったものの、結果は売却基準価額513万円を3割以上上回る689万円で競落された。やはり立地の違いなのであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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