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東京競売ウォッチ

2019年6月18日

第466回 外国人の入札が競落率を下支えか!!

 6月6日開札では競落1物件当たりの入札本数は、前回の5月23日開札に続き10本未満で入札競争が沈静化した感じがある。その中で目に付いたのは外国人(おそらくは競落者名から察するに中国人と思われる。)が3物件落札していることである。

 いずれも比較的低額グロス価格の物件であるが、中でもその外国人の入札が無ければ不落札で特別売却物件になった物件がある。その物件は都営三田線「新高島平」駅徒歩約12分で、築37年が経過した専有面積約12坪の2DKのマンションである。

 現在賃料等は月額63000円で、管理費・修繕積立金、固定資産税等を除くと年約39万円の収入がある。売却基買受可能価額471.2万円で考えれば年8%強の利回りになる。これだけ考えれば入札が集まりそうだが、この物件は5階建てでエレベーターが無く、対象住戸は5階最上階にある。

 これであると将来の賃貸や換金価値に難があると思われたのか、入札は僅かに1本でその入札者が外国人であったのである。競落価格は475万円強と買受可能価額とほぼ同じで、決して高値入札ではなく競落している。こういった利回りは高いが、物件内容に日本人が難ありと感じる物件は今後とも中国人等の現金購入は増加していくのではないだろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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