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東京競売ウォッチ

2013年12月10日

第209回 銀座1丁目の11階建てビル

 今年、東京地裁競売物件はマンションの占める割合が高くなっていることもあり、競落1物件あたりの競落価格は低くなって、平均3,000万円未満で推移している。

 小ぶりな物件が多い中、11月19日開札では、先の朝鮮総連中央本部に近い大型物件の競落があった。

 その物件は東京メトロ有楽町線「銀座1丁目」駅徒歩約2分に立地する築4年で鉄骨造11階建てのビルである。土地は南西側で幅員14.5m、南東側で幅員12mの各公道に面していて、約80坪の広さがある。一方、建物は未入居で、延床面積は約590坪である。

 この物件の売却基準価額は20億4,375万円であったが、これに対し、入札8本が入り、最高価、約42億円にて法人が落札していった。売却基準価額の2倍以上ではあるが、正面路線価が1坪2,000万円強であることから、実勢土地価格を1坪4,000~5,000万円と考えれば、想定の範囲の水準かもしれない。それは、この物件に次順位入札者がおり、その入札価格が41.8億円であったことからも理解できる。

 ただ、この物件の敷地には隣地建物の一部が越境しているという問題がある。これは、かつてこの地には、隣地建物と一体であった長屋形式の区分建物が建っていて、それを改築したことにも起因しているようだ。

 こういった権利関係の問題があるにしろ、立地の希少性が勝って、高値落札になったのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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