リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2023年02月21日

第638回 ベイエリアは今年も高値落札

 2月1日開札は対象物件が17物件とこれまで見たこともない少なさであった。これは昨年の差押え件数(配当要求終期の公告で把握)が1年で1000件(一昨年比13.7%減)という少なさと、差押え後任意売却等で競売市場から消えていく物件の割合が多いことの結果である。

 そんな中この日一番人気はゆりかもめ「有明テニスの森」駅徒歩約8分に立地するベイエリアの高層マンションであった。対象は築17年で専有面積約20.6坪の1LDK+サービスルームの部屋(27階建の25階所在)である。

 この物件の売却基準価額は3996万円であったが、これに対し33本の入札を集め最高価6012万円強にて落札されていった。この水準は昨年の同マンションの成約水準にほぼ並ぶ感じである。

 さて都内23区中古マンション取引価格は平成バブル期の水準に昨年12月に達した。ただ平成バブル期と異なりマンションが一戸建を大きく凌いで上昇している。マンションは価格が一戸建に比して分かりやすく、住宅ローンも利用しやすいなどで流動性も高いことが要因であろう。円安も手伝い海外投資家にも価格透明性が高く賃貸しやすいマンションが好まれるようだ。そういったことを背景に今年も東京の築浅好立地マンション更なる価格上昇を見込む見方もあり、それが強気の入札を呼んでいるようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.