リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2022年3月29日

第595回 共有持分更地が高上乗せ落札!!

 競売物件が減少する中、相続がらみで競売市場に現れる物件の割合が多くなっている。多くは共有物分割訴訟に基づく換価競売で、その不動産の全体が競売に付される。ところが3月9日開札では土地の共有持分が競売対象になっている。おそらくは相続分の争いで一部換金の必要性があったのだろう。

 その物件は東武伊勢崎線「五反野」駅徒歩約6分に所在する更地であった。現状駐車場などに利用されていて約83坪であるが、対象となる土地3筆1筆に縄伸びがある可能性があるとのことなので、これより大きな坪数になりそうだ。競売対象はその土地の共有持分2分の1である。

 その共有持分の売却基準価額は2166万円であったが、これに対し14本の入札があり、最高価4401万円にて競落されていった。共有持分でありながら多くの入札があり、且つ売却基準価額の2倍以上で競落されたことに驚かされた。この土地が北側で4m幅員の公道に面し、且つ分割して分譲するのに適しているからであろう。

 この土地の路線価は坪約86万円であるので、縄伸びを勘案しなければ相続税評価額より15%ほど高い水準で競落されたことになる。おそらく競落会社はこの土地を2分割して共有物分割によりその半分を手に入れるべく共有者との交渉に入るものと考えられる。商品化までには手が掛かりそうであるが、建売用地確保難の現状ではこういった物件でも多くの入札が集まるようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.