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東京競売ウォッチ

2016年3月15日

第314回 中古マンションに強気の入札

 先日の不動産経済研究所の発表によれば昨年の首都圏の新築マンションの供給戸数は40,449戸と、2年連続で減少し、一昨年比で9.9%減っているとのことである。さらに本年1月についても、前年同月比で11%減の1,494戸に止まっていて、減少傾向が今年に入っても続いている。また1月の契約率は58.6%と販売不振といって良いような水準にある。これは分譲価格の高止まりに消費者が付いてこられなくなったことにあろう。

 そういった状況にあって立地の良い築浅で、比較的安い中古物件が売れており、競売市場でも中古マンションに強気の入札が続いている。

 2月23日開札では、1番人気がJR総武線「錦糸町」駅徒歩約7分のマンションであった。このマンションは築5年と新しく、専有面積約23坪の3LDKである。売却基準価額は2,925万円であったが、これに対し、その2倍を超える5,905万円にて再販業者が落札していった。

 ちなみに、このところ人気のマンションエリアとなった錦糸町駅付近であるが、最近は新築分譲マンションが少なくなっている。また販売価格総額を抑えるために、分譲予定物件は専有面積が小さくなっているようだ。

 先の競落されたマンションであるが、おそらく再販価格は6,500万円程度で、専有面積坪単価は280万円超であろう。それでも需給関係で売却見込みがあるとの判断で落札されている。中古マンションの希少性が上がっているようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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