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東京競売ウォッチ

2020年12月1日

第529回 再建築不可戸建てに大量入札!!

 競売市場では建築基準法上の道路に接していないため再建築が不可という物件もある。その多くは入札がそれほど多く集まることがない。しかし11月4日開札では再建築不可の戸建てに20本の入札が集まった競落事例があった。その物件は京成金町線「柴又」駅徒歩約9分に立地する。敷地は約11.2坪と小さく、また建物は木造2階建で築40年近く、経年劣化が目立つ。購入者は本物件を利用または再販するには建物を再築することが前提と考えられるが、この敷地は建築基準法上の道路に接していない。敷地とは別に前面の道路状の短冊型の土地も競売対象であるが本敷地とは接せず、敷地に接する競売外の短冊形土地とともに敷地延長の形状で公道に面している。

 この物件の売却基準価額は378万円であるが、これに対し先述の本数の入札があり、最高価730万円弱で競落されていった。ちなみにこの物件の評価書においては再建築不可であることで土地の評価を50%減額している。結果として売却基準価額の2倍近い価格で競落され、再建築不可であることを入札者は知っていたかが気になるが、おそらく先述したこの物件の敷地に面する短冊形の土地を追加買収するなどして敷地に加え、敷地延長で公道に面する形を取る計画なのだろう。瑕疵ある競売物件を治癒する前提で取得できれば、コストを抑えて仕入れができるチャンスがあるが、本競落事例もそれにあたるのではないだろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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