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東京競売ウォッチ

2023年12月19日

第679回 パチンコ店用自走式駐車場が高値競落

 12月6日開札では東武伊勢崎線「谷塚」駅徒歩約16分に位置する約840坪の広い土地が対象になった。この土地には自走式の立体駐車場が設置されていて、それを隣接するパチンコ店が専用駐車場として月額350万円にて賃借している。さてこの立体駐車場は構築物として競売対象ではないので競落者はこの土地を更地化するには債務者からこの立体駐車場を買い取るか、強制執行で排除するかになる。(裁判所の見解では引渡命令では撤去は求められず、訴訟の必要と事件記録に書かれている。)

 この物件の買受可能価額は3億3792.8万円(坪40万円)なので、もしそれに近い価格で落とせて、仮に債務者から立体駐車場を1000万円程度で買い取れれば年利10%が期待できる。従って収益目的での取得も考えられようが、やはり更地にしてマンション用地とするのが最適用途ではないだろうか。また物流施設でもその土地の広さから良いかもしれない。

 そんな大型競売対象であったが、結果は12本の入札が入り、最高価10億円にて不動産会社が競落していった。おそらく競落者は隣接するパチンコ店と合わせて取得する考えではないだろうか。というのも隣接するパチンコ店は最近競売に付されたようなので、今後パチンコ店を任意で取得すればパチンコ店の継続も含め運用の途が大きく拓けるように思う。久々の大型対象物件は特殊用途の物件であった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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