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東京競売ウォッチ

2009年10月19日

第13回 高利回りで人気集める都心ワンルーム

 昨今、不動産不況とも言われるにもかかわらず、不動産投資に関連するセミナーや図書の広告が目に付く。 そんな中、このところの競売市場では、収益不動産は前回のバブル崩壊後と違い、1棟もののアパートなどは少なく、 ワンルームマンションが中心である。

 10月1日でも11物件のワンルーム等、マンションが開札対象になった。その中で一番人気を集めたのは 地下鉄丸ノ内線「新大塚駅」徒歩2分に立地する築25年経過した専有面積約6.5坪の部屋であった。

 現状は月額7.5万円で賃貸中であり、管理費及び固定資産税等を差し引いた年収は約78万円である。 この内容でこの物件の売却基準価額は277万円であったが、これに対し44本の入札があり、最高価779万円にて業者が 落札していった。この落札水準は取得時の登録免許税などの租税や滞納管理費(60万円強)を考慮すると、年9%強の 実質利回り水準での落札であった。

 さらにこの日、入札29本で次に人気だったワンルームは南北線「麻布十番」駅徒歩10分に立地する専有面積6坪強の部屋である。 築8年とまだ新しいこの物件の売却基準価額は747万円であったが、これに対し落札価格は1,500万円で、業者が落札していった。

 この物件は現在月額9.5万円で賃貸中であるが、管理費や固定資産税等を収入から差し引き、逆に滞納管理費や取得時の税金などを 購入コストに加えると、年実質利回りは6%弱になる。先の新大塚の物件との差は約3ポイントであるが、これが築年と立地の差と いうことであろう。ちなみに、こういった都心型のワンルームは業者落札が多いが、一方で郊外型の低グロスのワンルームでは 個人落札が主流になっている。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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