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東京競売ウォッチ

2009年11月2日

第15回 競落価格が任売価格を凌駕

 マンションへの入札過熱化は先週も伝えたが、10月22日に競落された京葉線「葛西臨海公園」徒歩15分に立地する専有面積約16.5坪で、2LDKのマンションの競落結果に目を引かれた。

 築14年経過したこの部屋の売却基準価額は994万円であったが、これに対し28本の入札があり、最高価1,816万円にて業者によって競落された。

 この結果に興味持ったのは、この部屋が競売入札締め切り直前まで任意売却で販売されていて、その価格が何と売却基準価額を下回る1,730万円であったためである。この任意売却の価格そのものが低い水準であったかもしれないが、結果として落札業者も任売で取得をした方が、仲介手数料を考慮しても安く買えたはずである。

 結局、時間切れで任売はまとまらず、競売に突っ込んだのであるが、債権者としては回収金額が増加するうれしい結果となった。任売価格を凌駕する競落価格は現在のマンション入札過熱化を物語っている。

 ところで、同じ住宅でも土地付建物の方の状況はどうであろうか。この日、開札となった東武登場線「中板橋」駅徒歩10分に立地する一戸建ては、土地が西側で幅員約4mの公道に面する約30.5坪で、建物は築20年の鉄骨造3階建て、延べ約50坪である。

 この物件の売却基準価額は3,143万円であったが、これに対し入札は9本で、競落価格は4,234万円であった。入札本数、上乗せ率ともマンションに比して少しは落ち着いている感じがする。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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