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東京競売ウォッチ

2013年7月2日

第187回 評価が大きく異なるマンション

 競売不動産では、同じ種別の不動産でも、大きく落札水準が相違する。

 6月13日開札では、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅徒歩約1分に立地する専有面積約9.5坪で築9年強の1Kの部屋が入札41本を集めた。空室状態ということもあってか、売却基準価額845万円に対し、落札価格はこれをはるかに上回る2,050万円強であった。売却基準価額に対する上乗せ率は142%強の水準なので、突出した落札価格かと思えば、約25万円下の次順位の入札があった。ちなみに、この部屋には約30万円の滞納管理費がある。

 こういった高水準落札がある一方で、この日、東京メトロ千代田線「千駄木」駅徒歩約6分という好立地のマンションに応札がなく、特売に回っている。その物件は築23年で、同じ棟内での3部屋が開札対象になっていたが、そのうち2部屋に応札がなかった。

 応札がなかった原因は5階建てのこのマンション、全体で4戸しかない小規模マンションであること、さらには構造が鉄骨造であることだろう。

 おそらく管理組合も管理規約もないと思われ、共用部分の管理に関し、今後円滑に行えるか否か、疑問を持たざるを得ない。また、鉄骨造というところでは、銀行の担保評価などは低くならざるを得ない。

 立地等に優れていても、マンションの場合は、その規模、構造、管理状況などによって大きく評価が異なってくる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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