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東京競売ウォッチ

2017年10月24日

第389回 共有物分割請求換価競売マンション

 不動産競売の中には共有持分だけの売却という物件もある。10月12日開札では、小田急線「梅ヶ丘」駅徒歩約8分に立地するマンションが開札対象であったが、このマンションが、この共有持分を目的とした競売であった。

 対象の部屋は専有面積約19坪の2LDKで、築32年を経過している。そして競売対象となったのは共有持分6分の5であった。申し立てているのはこの共有持分者に債権を持つ一般人で、抵当権等の実行ではなく、裁判所の判決を経由して競売に付されている。いわゆるヌ事件であるが、どうも当該持分所有者は所在不明であるようで、債権者は不在者の代理人に対して申し立てている。しかも債権者と債務者は親戚関係らしき様子であり、身内での債権債務問題が結果として競売となったようだ。

 この物件の売却基準価額は1800万円であったが、これに対し、6本の入札があり、最高価2401万円で再販業者が競落していった。競落者は共有の相手方と交渉の上、全体を任意で売却をしたいところだが、その相手方の共有持分6分の1が複数で、且つ先の所在不明者も含まれる。任意での売却が進まぬ公算も高いので、再度共有物の換価競売として競落者が全体を競売に付することもありえそうだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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