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東京競売ウォッチ

2013年1月22日

第165回 2012年の競売市場総括(上)

 今週から3週にわたり2012年の東京地裁本庁の競売市場を総括し、さらにそれを踏まえ、2013年の競売市場を展望していきたい。

 まず表1に記載のとおり12年の対象物件数は対前年(11年)とほぼ同数であった。これは前年から引き続いて金融機関が中小企業金融円滑化法によって、競売による債権回収が抑制されてきた表れである。

 また12年の期間入札の落札率は前年並みであった。期間入札で売却されなかった特別売却物件も6割程度の落札率で、競落率はほぼ100%の高水準が継続された。対象物件の種別割合では表2のとおり、前年と変わらず、3分の2程度がマンションであった。

 さて、12年のマンション競売市場で感じられた特徴の1つに、好立地の築浅ワンルームに対し、入札が増加傾向になったことがある。とくに、夏あたりからその傾向が強くなったように思う。7月31日開札で地下鉄丸ノ内線「茗荷谷」駅徒歩約4分に立地する築10年弱のワンルームに31本もの入札が集まった。競落価格も従前より高くなったように思われる(年利回りで実質6%強の水準)。

 また12年で最高の入札本数46本を集めたのも、先の人気ワンルームマンションと同じ「茗荷谷」駅から徒歩約5分のマンションであった。こちらはファミリー型マンション(ヴィルヌーヴ小石川播磨坂)であった。好立地の中古ファミリーマンションにも活発に入札があった1年でもあった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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