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東京競売ウォッチ

2024年03月26日

第690回 1物件に2本の無効入札

 3月12日開札では板橋区所在のマンションに2本の入札があったものの、その2本とも無効な入札ということで特別売却に回った。そんなわけでこの日は取下げのあった6物件を除き全て入札があり、実質は100%競落なのであるが、結果としては93.33%の競落率となってしまった。買受可能価額未満の入札価額での入札はもちろん無効ではあるが、そのミスはまずなされることはないだろう。考えられるのは入札者が法人の場合で、入札書とともに提出すべき「陳述書」(入札者が反社会勢力関係でないことの表明)、「買受申出人(法人)の役員に関する事項」のいずれかもしくは両方の未提出か、誤記であろう。誤記で一番多く考えられるのは「陳述書」の陳述欄において「自己の計算において当法人に買受の申出・・・」と記載されている欄にチェックを入れてしまうものだ。これは、買受人が言わば「腹貸し」で実際資金負担するものが他に存在する場合である。この欄にチェックをすれば、その資金元を別紙にて記載提出することになる。実際この欄の事項に該当する場合はあまり考えられず、おそらく不注意にチェックして、別紙の未提出などで無効入札になってしまっているように思う。法人で入札するときはこの点に注意をすべきであろう。

 ところで先の物件が、本来競落出来ていた入札者が特別売却で購入できたか否かは分からない。買えなかったとしたら悔やまれる入札ミスである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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