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東京競売ウォッチ

2022年3月8日

第592回 錦糸町マンション高値落札に驚き!!

 ウクライナ情勢など世界経済に暗雲が漂う中ながらマンションの高値落札が続いている。特に従来山の手の立地に比し低価格であった下町物件の価格上昇が際立つ印象がある。2月24日開札ではJR総武線「錦糸町」駅徒歩約9分に立地する専有面積23坪強の3LDK のマンションが一番人気であった。築17年のこの物件は「ライオンズマンション錦糸町北斎通り」と言う大手分譲である。そんなブランド力もあってか、売却基準価額3984万円に対し入札38本が集まった。そして落札したのは再販業者であり、競落価格は7110万円で、専有面積坪単価にして305万円強である。

 ちなみに約1年前、このマンションの異なる部屋の成約事例があるが、その時の成約坪単価より高い競落水準である。しかもその成約した住戸の条件は、この日の競落物件より勝っている。またこの日の競落物件には滞納管理が約35万円あり、且つ部屋内の設備も改修の必要性がある。それらの状況を勘案し、加えて再販利益を見込むとすれば、再販価格は8000万円程度にはなるだろう。すると専有面積坪単価で350万円になり、1年前の15%程度の相場上昇を前提とした入札がなされたことになる。地域的に上昇傾向が強いということがあるのかもしれないが、それにしても高水準の競落価格に驚かされた。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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