リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2019年12月17日

第491回 ワンルーム個人競落年7%目線!!

 今年の開札も12月5日を終えあと1回となりいよいよ年末を迎えることになる。今年はスルガ銀行の不適正融資の影響を受け収益不動産の流通が一部停滞したが、個人の不動産投資熱は相変わらず堅調な側面もある。

 12月5日開札では京王線「千歳烏山」駅徒歩約3分に立地するワンルームマンションが競売対象になった。この物件築33年で専有面積約4.7坪であった。この物件には抵当権設定前の賃貸借契約があり、買受人は最先の賃借権として承継することになる。この賃借権は不動産会社が賃借権者であり、転貸が可能であり、賃料は月額54000円である。

 この物件は水回りがバス・トイレ・洗面台が一緒のいわゆる三点ユニットであるが、立地から考えると相場賃料は1割以上高いだろう。不動産会社とのサブリース利益を考えると仕方ないところとも思う。

 この条件で売却基準価額は562万円であったが、これに対し入札は6本あり、最高価701万円強にて個人が落札した。固定資産税等は年間約2.4万円で、管理費・修繕積立金が年約13.2万円を考えると実質年収は49万円強となる。

 なおこの物件に滞納管理費等はほとんど無いようなので、競落価格に対して約7%となる。なおこの日都営大江戸線「中野坂上」駅徒歩約5分の築35年のワンルームマンションも対象になった。こちらの落札は個人ではなかったが、やはり実質年収に対して7%還元価格で競落されている。一つの競落目安かと思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.