リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2015年7月7日

第283回 競売処理のスピードアップ

 1990年代のバブル崩壊のときには、競売不動産の未処理物件が大幅に増加した。そして、差押から売却実施~配当までの時間も3年程度かかることも多く、競売処理のスピードアップが必要と、当時言われていた。時代は流れ現在では差押から配当まで、1年程度で処理されるのが標準的になっている。6月18日開札では、平成27年の事件が開札になっている。差押から6カ月で開札であるので、順調に8月には配当されれば8カ月間での処理である。処理スピードは確実に早まった。そんな中、この日の1番人気の物件も今年に入って差押えされたマンションであった。

 その物件はJR山手線「目黒」駅徒歩約12分に立地する築32年の専有面積約12坪の2LDKである。現況調査報告書を見ると、今年2月19日に現地の執行官調査及び評価人の鑑定実査が行われており、その後は順調に売却実施処分がなされている。

 所有者居住であり、占有調査も複雑でなかったことも売却手続きの進行を円滑にしたのであろう。

 さて、この物件の売却基準価額が1,172万円であったが、これに対し、入札は45本入り、最高価2,452万円にて落札されていった。

 滞納管理費等が110万円超あることから、取得コストは2,600万円を超えるだろう。立地の良さが人気を呼んだようだ。また、ぎりぎり新耐震基準と推定されることも入札を促進したと思われる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.