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東京競売ウォッチ

2025年06月03日

第746回 広尾ガーデンフォレスト 坪単価約780万円で競落

 近時分譲マンションで敷地が定期借地権である物件が散見される。この定期借地権マンションのうちハイクラス物件の分譲の走りともいうべきマンションが「広尾ガーデンフォレスト」(東京メトロ日比谷線「広尾」駅徒歩約9分)である。このマンション、敷地は地主を日本赤十字社とする定期借地権(50年間)の分譲である。建築後16年強経過しており、借地期間の残存は約33年である。定期借地権なので当然期間満了を迎えれば、明渡となるので価値は無くなる。

 そんなマンション内の専有面積約34坪が5月15日に開札対象となった。売却基準価額は2億1920万円であったが、これに対し入札15本があり、最高価2億6600万円にて競落されていった。専有面積坪単価にして約780万円である。実はこのマンションの別の部屋が6年ほど前に競売対象いなっていて、その時の競落価格は専有面積坪単価で約470万円である。つまりおおよそ6年経過し、約65%競落水準が上がっていることになる。

 ここで敷地は所有権でなく定期借地権なので、時間の経過とともに価値が減価するのが道理ではある。しかし、近時の港区の通常マンションの急激な値上がりによって定期借地権の残存期間が短くなっても値上がりをするという現象が起こったのである。

 ちなみに今回の競落部屋を賃借した場合、仮に家賃を月額100万円とすると、管理費や地代などで実質は80万円程度になる。これを借地残存期間(33年×12ヶ月=396ヶ月)に掛けると約3億2000万円である。果たしてソロバンが合う競落価格か、微妙に思えてくる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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