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東京競売ウォッチ

2009年10月5日

第11回 寄りつき鈍い戸建の競売

 先週はマンションの過熱ぶりをお伝えしたが、一方で土地付建物にはマンションほどの大量入札はない。 9月17日で土地付建物の一番人気は東急田園都市線「二子玉川」駅徒歩9分に立地する戸建てである。

 土地は南側で幅員3.5mの公道に面した約12坪、建物は築20年の鉄骨造5階建てで、延床面積約34坪ある。

 狭い土地ながら近隣商業地域で実効容積率がセットバック後の敷地の240%取れることもあって車庫付の 3LDKの間取りとなっている。こんな内容で、この物件の売却基準価額は1,679万円であったが、これに対し 入札が14本入り、最高価2,741万円にて業者に落札されていった。

 結構強気な競落水準に見えるが、マンションより過熱感は薄い感じはする。これはこのところ増加している 競売市場への新規参入業者にとって、戸建ては再販価格を読みにくく、入札参加しにくい事情もあろう。

 また、一方で9月17日開札では、都心一等地である渋谷区神宮前の土地約130坪が開札となった。 千代田線「表参道」駅徒歩5分の好立地であり、売却基準価額2億6,481万円は路線価評価の35%引きに相当する。 割安感はあるが、入札は6本に止まった。そして結局は債権者の自己競落となっている。 競落価格は約4億1,300万円であり、正に路線価評価相当であった(次順位入札なし)。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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