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東京競売ウォッチ

2013年1月29日

第166回 2012年の競売市場総括(中)

 前回に続き、2012年の東京地裁競売市場を振り返りたい。

 競売市場の市況を測る指標の1つとして、落札価格の売却基準価額に対する上乗せ率というものがある。表1は2012年と、その前年を比較した表である。

 これを見ると、物件全体としては5ポイント程度高くなっている。ただし、その内訳を見てみると、マンションについては、逆に5ポイントほど低下している。

 マンションへの入札が衰えたわけではないところで、上乗せ率が低下したのは、比較的狭い価格レンジの中に入札が集中したというこということである。

 10月23日開札で、1番人気の中野のマンションの競落価格は、売却基準価額の約28%上乗せであったが、そこに34本もの入札が集まった。2012年、中古マンション市場は活発であったが、売買価格については、上昇しなかったということだろう。

 一方で、土地や土地付建物については、上乗せ率が増加している。これは建売用地に対する開発業者等のニーズが強い昨今の市況を反映した結果だろう。

 続いて表2は、競売市場の市況を測るもう1つの指標である落札1物件あたりの入札本数の推移を表わしたものである。

 リーマンショックによる2008年下期前後の落ち込みから急回復し、その後、低下してきていた。しかし2012年下期で再び上昇、10本を超えてきており、競売人気が年後半に高くなったと言える1年であったようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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