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東京競売ウォッチ

2014年6月3日

第232回 朝鮮総連中央本部占有ビル

 売却率100%の5月15日開札であったが、その中で53本もの入札を集めた1番人気マンションがあった。その物件は都営大江戸線「牛込神楽坂」駅徒歩約2分に立地する築10年強、専有面積約11坪の2Kのマンションであった。

 このマンションの売却基準価額は1,743万円であったが、これに対し、先の大量入札があり、最高価3,151万円にて競落されていった。

 この物件はほぼ空き家のような状況であり、動産類がほとんどないことから、再販商品化が早いと思われたことも大量入札の要因であろう。早い商品化で換金スピードを上げ、高い価格での競落をカバーしようということである。

 ところで、先日、千代田区富士見の朝鮮総連中央本部占有ビルについての執行抗告が高裁で却下された。この執行抗告は、先に落札した高松市のマルナカホールディングスへの売却許可決定に対し、それを不服として朝鮮総連が行ったものである。

 執行抗告は裁判の控訴のようなもので、東京地裁の上級審である東京高裁宛になされる(ただし、同じ執行抗告でも明らかな執行遅延等と看做されるものは、地裁で却下されることがある)。

 今回の却下で売却許可決定は確定され、マルナカホールディングスには代金納付期限通知書がほどなく送付される運びだ。しかしながら、今後の朝鮮総連との明渡し交渉は容易ではなかろう。先のマンションと違って商品化への時間が読めない案件である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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