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東京競売ウォッチ

2024年08月27日

第710回 換価競売の豊洲タワマンが一番人気

 先週、目黒区の更地の競売物件が相続後の共有物分割請求訴訟からのものであるとの記事内容を書いた。同じ7月31日開札で一番人気の24本の入札を集めた競売物件も共有物分割請求訴訟由来の物件であった。こちらはマンションで、東京メトロ有楽町線「豊洲」駅徒歩約5分に立地する。このマンションはもともと母と娘3人が共有し同居していたところ、一人の娘を残し他3人が転居した。残った一人の娘と他の3人はそののち没交渉となったようだ。今般、残って占有している娘に対し、他の3人の共有者が申立人となり共有物分割請求訴訟を提起し、競売に付されたものである。

 現況調査の折、執行官が申立人から借りた鍵では専有部分内には入れず、鍵技術者により解錠され部屋内の調査を行っている。占有していた娘が鍵を交換してしまったと思われ、相互の関係悪化を表している。

 さて、このマンションの専有面積は約26坪であり、売却基準価額は6400万円であったが、これに対し先のとおり24本の入札があり、最高価9364万円弱で競落されていった。専有面積坪単価は約360万円になる。多くの入札が集まった理由として、こういった共有物分割請求訴訟由来の換価競売で共有者の一人が占有している場合は、競落後の明渡しが比較的円滑に進むことが考えられる。しかも本件の場合現況調査報告書においては、すでに占有していた共有者は転居している様子が記載されている。再販に向けた商品化のスピードが速いと思われることが、大量入札の要因でもあろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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