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東京競売ウォッチ

2015年11月17日

第299回 八丁堀のワンルームに入札14本

 東京オリンピック開催は、訪日外国人の増加はもちろん期待できる。宿泊所の不足が最近話題になっている。また、オリンピックは日本経済にとって今後競技施設や、その関連施設などの建設などで東京圏の内需拡大が大きい。そしてそれに伴い、企業の東京出張の増加が起きている。

 折しもインバウンド伸長の影響で、ビジネスホテルの予約が取りにくいと言われる。そんな事情を背景に短期賃貸のウィークリー、マンスリーマンションの需要が増加しているようだ。競売物件の中にも、短期賃貸形式で運用されている物件が見られる。

 10月8日開札で、JR京葉線「八丁堀」駅徒歩約5分に立地する築約10年のワンルームマンションが対象物件となった。専有面積約6.5坪で、売却基準価額は1,000万円であった。

 これに対し、入札は14本あり、結果は最高価1,851万円にて再販業者が落札していった。さて、このマンションはマンスリーマンション経営の会社が現状賃借しており、マンスリーマンションとして転貸している。

 マンスリーマンション運営会社は、オーナーから月額管理費込で86,000円にて賃借している。これをベースに考えると、管理費等、固定資産税等を差し引いた実収入は年88万円強になり、競落価格ベースでは年利回り4.7%レベルである。

 ところで、このマンスリーマンションの転借条件は1日あたり4,000円程度であるようだ。そこから月額収入を推量してみると、稼働率80~90%であれば10万円以上の売上げは見込めるのだろう。需要が見込めれば、サブリース事業として成り立ちそうだ。

 今後は競売でマンスリーマンション運営されている都心型ワンルームマンションが増加する気がする。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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