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東京競売ウォッチ

2025年02月18日

第732回 好立地既存不適格1Rマンションの評価

 昭和60年前後は投資用ワンルームマンションが大量供給された。そのときの分譲業者の多くが姿を消している。しかし、物件は現在も多く残っており、賃貸目的で投資家が所有している。1月22日開札では東京メトロ千代田線「表参道」駅徒歩約4分に立地する1984年9月竣工の1Rマンションが対象になった。この物件も今は無きワンルームマンション販売会社「杉山商事」が分譲した物件である。

 ところでこの物件の専有面積は14.52㎡であるが、現在の渋谷区の1R条例によれば、専有面積28㎡以上でなければ共同住宅は建設できない。つまりこの対象となった1Rマンションは既存不適格建築物であるということである。現在総戸数80戸であるが、おそらくは再建築するならば半分以下の戸数しか造れないのではないだろうか。

 そんなマンションであるが売却基準価額1440万円に対して入札が13本集まり、最高価1838万円にて個人が落札した。この競落水準は専有面積坪単価約420万円で、管理費等や固定資産税等を差し引いた年収約75万円に対し年利4%相当である。

 この物件まさに1等地であり、マンション全体の敷地は約280坪ある。この物件落札者は将来の建替えになれば、この対象物件の土地の共有持分(約3.5坪分)に大きな価値が生じると考えているかもしれない。

 かつてのワンルーム大量供給時代の物件の中でも、この表参道の物件のように得難い立地のものには、長期的視点でのニーズがあるように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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