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東京競売ウォッチ

2018年2月13日

第402回 郊外マンション上乗せ率が低下

 マンション市況は昨年活況であったとの見方が大方であるが、これは新築マンションの販売坪単価の上昇にも表れた。首都圏の新築マンションにおいては2012年から5年連続で上昇し、昨年は282万円強とのことであった。相場を引っ張ったのは湾岸地域のタワーマンションと見られる。これにつられるように中古マンションも値上がりし、昨年は坪単価200万円近くになった。しかし、これはあくまで平均であり、立地によって相異がある。特に郊外で足回りが悪い物件は築浅物件でも買値を下回るケースが散見される。

 競売市場でもそういった物件への入札価格は売却基準価額に対する競落価格の上乗せ率が平均を大きく下回るケースもある。1月23日開札では東武伊勢崎線「竹ノ塚」駅徒歩約20分に立地する築10年弱のマンションが競落されたが、その上乗せ率は17.2%で、平均では昨年マンションに関しては約53%であったが、これを大きく下回っている。先の物件は専有面積約22坪の3LDKで、競落価格は2157万円で、専有面積坪単価が約98万円であった。滞納管理費(約85万円)を考えても103万円に届かない。おそらく再販価格は2500万円程度かと考えられるが、これは評価書で算出された正常価格とあまり相違がない。競売マンションは評価書の評価より流通価格が上振れることが多かった。しかし立地によってはその上振れが無くなっていると言えよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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