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東京競売ウォッチ

2023年11月28日

第676回 マンション入札がやや沈静化?

 11月8日開札では相変わらず競落率は100%で、売却好調の競売市場であるが、少し変化の兆しも感じる。それは競落1物件あたりの入札本数である。この日全物件平均では約10.2本で、これは2022年の通年平均約13本そして2023年上半期平均の約11.85本を下回っている。特にこの日のマンションの平均については約8.8本とかなり減少している感じがする。競争の激しさのため入札を見合わせているのか、または再販業者の在庫が多くなっているのかは不明である。また一時的なことかもしれない。

 そんな中、この日の一番人気はマンションであった。それはJR総武線「浅草橋」駅徒歩4分に立地する築9年の専有面積約12.3坪1Kの部屋である。この物件の売却基準価額は2536万円であったが、これに対し入札23本が入り最高価3835万円にて再販会社に落札されていった。ちなみにこの物件の占有者は6か月猶予で明渡し可能なので再販の商品化に障害はなさそうだ。現在の取引事例から専有面積1坪あたり350万円以上での再販は十分確度が高そうなので、滞納管理費等も無く、再販利益も原価対比で7%程度はあるだろう。こういった物件では昨年一番の過熱時であれば30本は入ったように思う。

 また、同じ日足立区所在で東京メトロ南北線「王子神谷」駅徒歩約15分の専有面積約約14坪の1LDKの部屋が対象になった。こちらも明渡に障害はなく、且つ築3年と新しい。この物件の売却基準価額は2250万円であったが、これに対し入札は4本に止まり、最高価は2550万円と、売却基準価額に対し低めの13%強上乗せ落札だった。マンションへの入札の勢いは落ちているのか、今後注目していきたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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