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東京競売ウォッチ

2016年6月28日

第328回 葛西臨海公園の建売用地96坪

 競売市場は不動産の卸売市場とも言え、不動産売買業者がその多くを落札していく。土地については、分譲住宅用地として分割整地するべく建売業者が落札するケースが多い。ところが6月9日開札では、すでに分譲用に分割整地された土地が入札対象になった。分譲業者が所有するその土地は4宅地に分割され、位置指定道路も築造されており、落札者は手間をかけずに分譲できる。

 その土地はJR京葉線「葛西臨海公園」駅徒歩約23分に立地し、有効宅地部分が4宅地合計で96坪強ある。このほかに位置指定道路部分約18坪も対象であった。この対象地全体は南東側で幅員7mの公道に面している。

 こういった条件で売却基準価額は5,738万円であり、正味面積1坪あたり60万円弱であった。これに対し、入札は31本あり、最高価1億1,500万円にて業者によって落札されていった。1坪あたり120万円弱の水準である。

 ちなみに、この土地の正面路線価は1坪当たり約81万円であるので、落札価格はそれの約1.5倍である。さらに本対象物件の評価書では、本土地の近傍地価公示価格との比準価格が記されているが、それは1坪当たり99万円弱である。落札価格はそれに対しても20%以上高いことになる。

 これだけ高い水準での仕入れ(入札)をするということは、分譲しやすさということもあるが、市場において建売用地としての適地の流通量が少ないということなのだろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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