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東京競売ウォッチ

2017年11月14日

第392回 団地マンションの相続人不存在2度目

 今空き家そして空き地の問題が世間でクローズアップされている。亡くなった方の相続登記がなされず、放置されている土地は全国で九州の広さがあるとのことである。戸建や土地では固定資産税の回収に支障が生じるが、マンションの場合は滞納管理費の問題がある。亡くなった方のマンションに滞納管理費があった場合、どのように回収するかが問題になる。

 平成29年10月26日開札で西武線「武蔵関」駅から1キロ程度離れたところに所在する築42年の大型団地マンションの1室が競売になったが、これが所有者死亡のまま放置された部屋であった。競売の申立人はマンションの管理組合で、申立先は亡くなった所有者の相続財産管理人(弁護士)である。マンション管理組合が滞納管理費回収のため、家庭裁判所に申し立て、競売の相手先である相続財産管理人を選定してもらい競売に付したものだ。

 このマンションの専有面積は約20坪で、売却基準価額は2070万円であったが、これに対し入札は5本で、競落価格は売却基準価額を下回る1955万円強であった。何とか競落され管理組合も滞納管理費回収ができたが、実はこの部屋は約14年前にも所有者死亡で相続人不存在であった。その時は相続財産管理人から任意で売買され競売にはならなかった。  そしてこのたびその時の買主が亡くなり再び相続人不存在となった上、今度は競売に付されたというわけだ。高齢化時代を反映した競落事例である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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