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東京競売ウォッチ

2020年1月28日

第496回 マンションシフトが明らかに!!

 2019年東京地裁は対象物件が2年連続で増加したことを前週述べたが、では、その競落水準はどうであったか。図表1は物件種別ごとの上乗せ率の3年推移である。全体平均の上乗せ率は2018年比で8ポイント以上上昇している。

 ただし、種別を個別に見ると対象物件全体の7割弱を占めるマンションに関しては0.57%の微減で同じく全体の4分の1近くを占める一戸建てについては12.5%の大幅ダウンである。

 従って上乗せ率は実質低下している感がある。特にマンションより一戸建ての上乗せ率減少が大きいのは不動産市場において一戸建てからマンションへのシフトが起こっていることを反映していると思われる。

 加えて一棟収益型共同住宅の価格が低下傾向にあることも土地付建物の上乗せ率低下の要因だろう。2020年では好立地マンションの郊外一戸建てをを上回る人気は継続もしくは更に顕著になるのではないだろうか。また図表2の競落1物件当たりの入札本数の推移を見ると前年比で1本程度の減少となっており、競落競争はやや沈静化したことがわかる。2020年も引き続き、同じ水準程度で推移するように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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