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東京競売ウォッチ

2019年4月9日

第457回 徒歩26分のマンション特売で落札!!

 かつて期間入札で入札が無かった物件を特別売却(先着販売)で落札されるケースは多々あった。しかしここのところほとんど期間入札で落札されてしまうので特別売却での競落はほとんど見られない。そんな中3月12日開札では、マンション1物件が特別売却に回り、競落された。

 その物件は東京メトロ千代田線「北綾瀬」駅から徒歩26分という足回りに難がある物件だった。最寄駅の「北綾瀬」駅も千代田線とはいえ支線であり、利便に劣る部分もある。さらにこのマンションは昭和54年3月築であり、いわゆる旧耐震構造である。この物件の専有面積は約14坪で間取りは3DKになっている。この条件で売却基準価額は814万円で、買受可能価額は651.2万円であった。レインズの登録状況から推して専有面積坪単価は70万円程度だろう。

 すると再販価格は1000万円を切ったところくらいと思われる。これであると競落者が不動産会社とすれば、売却基準価額では内装費等考慮すれば再販によるマージンは得られまい。買受可能価額(651.2万円)であれば何とかビジネスにはなりそうだ。一見売却基準価額設定が高そうなマンションについては入札検討対象から外されることが多いので競落し易さというところでは妙味があろう。

 この日同じ足立区のマンションで売却基準価額を下回る競落があった。このマンションも旧耐震構造であった。旧耐震マンションの再販価格の読みは今後さらに重要になるだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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