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東京競売ウォッチ

2024年12月24日

第726回 目黒の借地権付戸建て特売で競落

 12月4日開札では、特別売却に1物件回ったが、それがJR山手線「目黒」駅徒歩約14分に立地する木造2階建で築6年、借地面積約35坪の借地権付一戸建てであった。このところ入札が無く特別売却に回る物件が少ない中で好立地の築浅戸建が特別売却に回るのは珍しい。

 この物件は所有者が住宅ローンを利用して取得したものであるが、理由は不明ながら1階部分(床面積約18坪)のうち約5坪くらいを独立したワンルームとして造られている。また駐車場の一部をレンタル電動キックボード置場としている。そしてその余の部分(約30坪)は所有者の居宅にしていて、ワンルーム部分は第三者に賃貸している。

 取得当初から賃貸収入を得るプランであったように思われる。そうなると住宅ローンを利用していることは違反行為であり、且つレンタル電動キックボードについては地主との土地賃貸借契約に違反すると見られる。また、この建物は先述のワンルームを造ったことで、1階の洋間がかなり使いづらい部屋の形となっている。

 そんなことで、売却基準価額7104万円では応札が無かったのであろう。しかし、特別売却に回ってほどなく入札があり、売却された。おそらくは買受可能価額(5680万円強)で競落者は入手できたように思う。地主への名義変更料はおおよそ700万円に想定されるので、取得総額は6400万円程度であろう。また地代は1月43,725円と、1月1坪1,460円弱と相場であるので、間取りの特殊性などを除けばお買い得ではないかと思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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