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東京競売ウォッチ

2022年9月13日

第617回 バス便郊外マンションが高上乗せ落札

 東京地裁本庁の競落率は100%が続いている。また都心マンションへの高水準競落も目立つ。そんな中、新聞では都内の中古マンション取引価格が久々に僅かなが(0.1%)下落した報道がなされた。この現象は中古マンション取引が郊外にシフトし、1戸当たりの取引価格が低下したことが要因と報じられている。都心物件には手が届かない購入希望者が郊外に目を向けているのだろう。

 8月31日開札ではJR総武線「小岩」駅徒歩約19分に立地する実質バス便の物件が対象であった。その物件は鉄筋コンクリート造築17年のマンションで専有面積約21坪の3LDK の部屋である。この部屋は現在賃貸中ではあるが抵当権に後れ、明渡可能(6か月明渡猶予あり。)である。

 この部屋の売却基準価額は1900万円であったが、これに対し入札11本が入り、上乗せ率50%超の最高価2855万円にて再販業者が落札していった。滞納管理費等は約85万円あるので登録免許税等を考慮すれば取得費用は3000万円に近い。競落した再販業者は内装等施し、マージンを含め3600万円以上の再販になるだろう。駅前再開発が進む「小岩」駅ではあるがバス便物件であることを考えると高い再販価格になるとも言える。しかし、こういった物件が選ばれるのが現在のマーケットのようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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